ちょっと待って、その前に。「定款」って知ってますか?
株式会社でも合同会社でも、会社を設立する際に必ず必要なのが「定款(ていかん)」です。
簡単に言うと、会社のルールブックです。以下のような情報を定めます:
- 会社の名前(商号)
- 住所(本店所在地)
- 何をする会社か(事業目的)
- だれが出資するか(社員・株主)
- 誰が経営するか(役員)
- 利益はどう分けるか
この定款が、あなたの会社の「憲法」のような役割を果たします。
株式会社は「定款認証」が必要。合同会社は不要!
さて、ここで出てくるのが「定款認証(ていかんにんしょう)」という手続き。
これは、公証役場というところで、「この定款はちゃんと作られたものですよ」とお墨付きをもらう作業です。
ポイントは以下の通りです:
項目 | 株式会社 | 合同会社
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定款認証の必要性 | 必要 | 不要
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費用 | 1.5万円~5万円 | かからない
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定款認証とは?
定款の認証とは、法務省が管轄している公証役場で公証人が定款の正当性を証明することです。
公証人は法律の専門家で、原則として裁判官や検察官、弁護士、法務局長といった法律に関わる仕事に関わった人の中から法務大臣によって任命され、各都道府県に設置された公証役場で公証作業を行っています。
定款の記載事項には種類がある
定款は、会社を経営していくためのルールをまとめたもので、会社を設立するときに作成が義務付けられている重要な書類です。
定款の記載内容は、法的な効力の違いによって以下の3つに分類されます:
- 絶対的記載事項:必ず記載しなければならない内容
- 相対的記載事項:記載すれば効力が発生する内容
- 任意的記載事項:自由に記載できる内容
とくに「相対的記載事項」は、記載することで法的効力が発生するため、内容に注意が必要です。
定款を認証する理由
定款の認証を行う目的は、会社設立が適法に行われるようにするためです。
また、発起人全員の同意のもとで定款を作成したことを証明し、内容の明確性を確保することで、
将来的な紛争や不正行為を防ぐ役割もあります。
たとえば、株式の譲渡や相続が発生したときにトラブルにならないよう、定款の認証が必要とされています。
電子定款ってなに?紙との違いは?
定款には「紙の定款」と「電子定款」の2種類があります。
株式会社を作る場合、紙の定款だと収入印紙代4万円がかかるのに対し、電子定款ならこの印紙代が不要になります。
そのため、最近ではほとんどの人が電子定款を選びます。
ただし、自分で電子定款を作成・認証するには専用のソフトや電子署名の準備が必要で少しハードル高め。
多くの場合は、司法書士や行政書士などの専門家に依頼するケースが多いです。
定款はあとから変えられる?
定款に書かれている内容は、基本的には「会社の根本ルール」なので、あとから変更するには手続きが必要です。
- 合同会社の場合:社員(出資者)全員の合意が必要
- 株式会社の場合:株主総会の特別決議(3分の2以上の賛成)が必要
とくに事業目的を変更する場合など、定款変更の際には法務局での登記も必要になることがあります。
だからこそ、最初に定款を作るときは、少し将来のことも見据えて内容を決めるのが大切です。
まとめ:「定款」はあなたの会社の設計図
会社を設立するうえで、定款は「ただの書類」ではありません。
あなたがどんな事業をやっていきたいのか、
どんな仲間と、どうやって進めていくのか。
それを最初に言語化し、形にしたものが「定款」です。
そして、その内容をきちんと整えてスタートすることが、
後のトラブル防止やスムーズな経営につながります。
ちょっと面倒に見えるかもしれませんが、会社の設立準備としてとても大事なステップです。